2014年3月18日、清水が浦和戦のパブリックビューイング開催のリリースを出した。
http://www.s-pulse.co.jp/news/detail/24718
『3/23(日)浦和戦 パブリックビューイングinアイスタ』開催のお知らせ
~みんなで清水エスパルスを応援しよう!~
取材して分かったのだが、これは浦和の無観客試合が決定したことを受け即座にクラブが動き出したとのことだった。そして決定まで本当に素早い動きだった。
そして、パブリックビューイング開催にあたり、ホームのIAIスタジアムを抑え、映像スタッフや警備などの手配、準備も含め、そこへの交渉を含めたもろもろの動き、そして承諾してくれた方々の理解と熱意は素晴らしいと言えるだろう。まさにサッカー王国と呼ぶにふさわしい対応ではないかと思う。
聞くところによれば、竹内社長の強い希望でという話も耳にした。そのためなのかは分からないが、相当素早い決定だった。Jリーグのクラブとしてではなく、サービス業として、地域に根ざす企業として、会社が決断した。その対応の速さには頭が下がる。
今回Jリーグ初となる無観客試合。これは、ペナルティを受けたホームクラブにとっては収入面やイメージの低下など大きな損失が生じるのは当然だ。が、一方で対戦相手にもいろいろな意味で大きな損失を与えていることを忘れてはならない。
清水のサポーターとしては、「なんでこの試合で!」という気持ちもあるだろう。新幹線のチケットを手配し楽しみにしていた人も居るだろうし、3連休ということもあり混雑を避け自前で早朝から車を出して清水から乗合いで行く、なんて予定を立てていた人たちもいるかもしれない。しかし、そうした準備が全て台無しになった。だが、そうしたマイナスの気持ちを少しでもプラスに和らげることができるのは、応援する清水エスパルスでしかないのも事実。そして、そのことをしっかり理解したうえでの対応だった。こうした問題に「正解」は無いだろう。しかし、少なくともエスパルスを応援する人たちの気持ちを少しでも満たすことができれば、まずは及第点になると思う。そして、このパブリックビューイングを機会に新たにサポーター同士での交流などが生まれれば、それは思わぬ副産物になると思う。そういうポジティブな出来事を期待して今回の企画を応援したい。
ただ、忘れてはいけないこともある。この一件はいろいろなところでしわ寄せが来ている。今回はパブリックビューイング開催により、試合の様子を全く見られないという状況は回避した(スカパー!などに入って見るという方法もあるが、加入してない人も居るだろうし、この1試合だけのために加入するのは嫌だと思う人も居なくはない)。しかし、そもそも本来ならばやらなくても良かったことである。そして、そのための労力とかかる金額は0ではないことを知っておきたい。
何故ならば、入場は無料。そのため、クラブには一円も入らいない。しかし、スタジアムの使用料、映像スタッフや警備のアルバイトなどへの支払いは当然ながら生じる。また、スタジアム周辺や自治体、警察への申請、通知、配慮、説明なども含めてクラブスタッフがやらなければならない。これが通常のアウェイ開催試合であれば、やらなくていい仕事が今回は生じていることになる。当然、当日はスタジアムにクラブスタッフが配置される訳で、その場合は休日出勤となる(代休貰えるとは思いますが、もしかしたら本来は連休中に家族サービスをする予定だった人もいるかもしれない?)。また、そうしたことを考えると単純に計算しても数百万単位での持ち出しだと想像できる。それでも清水はパブリックビューイングの開催を決めた。
損して得取れではないが、ビジネスシーンではお客様の満足度、笑顔をどうしたら見られるか。そういう視点からサービスを考えるという鉄則がある。それが一流のサービスであり、長く愛して頂けるコツだとも言われている。そういった意味からすると、今回の清水が出した答え、パブリックビューイング開催という方法は賞賛に値するといっていい。降って湧いたマイナス要素をプラスにする。そのための努力を惜しまない。清水が今回下したクラブとしての姿勢は、サポーターとのいい関係をこれから先数年まで見据えて考えて出したのだろう。短期的に見れば収益はマイナスかもしれないが、後々にまで通じるサービス精神であると思う。
ちなみに、浦和はアイスタでの費用を持つと申し出たが清水に断られたというニュースがスポニチさんの記事として出ている。意地というか、清水のプライドを感じた。
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2014/03/21/kiji/K20140321007813980.html
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