ちなみに、ここ2年の移籍(出入り)を集計してみると分かることがある。

 

2012年オフの場合は、J1 クラブからは44人の選手が期限付きで活躍の場を求めた。これは所属クラブを出た選手(契約満了や海外移籍、引退選手も含む183人)の約24%。J2の場合は、24人が期限付き移籍を求め、クラブを出た選手(J1と同様287人)の約8%となる。

ちなみに、J2のクラブが期限付き移籍で獲得したのは40人。これは加入選手(240人)の約15%となっていて、J1クラブを期限付き移籍で出てきた選手(44人のうち)の殆どがカテゴリーを落としてプレーしていると言い換えることができる。

 

2013年オフの場合は、J1 クラブからは46人の選手が期限付きで活躍の場を求めた。これは所属クラブを出た選手(契約満了や海外移籍、引退選手も含む176人)の約26%。J2の場合は、32人が期限付き移籍を求め、クラブを出た選手(J1と同様259人)の約12%となる。

ちなみに、2013年はJ2のクラブが期限付き移籍で獲得したのは44人。これは加入選手(227人)の約19%となっている。

 

ちなみに、シーズン中の移籍はデータから除外してまとめるとこうなる。

※印は完全移籍が難しい状況だったのかなと思われる例。外国人だったり、日本人選手が海外に挑戦するのを認めるケースだったりするので、敢えて記載した。

 

2013年のJ1 移籍

仙台

in7人(期限付き2人)        ※マイケルマグリンチィ(セントラルコースト・マリナーズ)

out9人(期限付き3人)

 

鹿島

in6

out5人(期限付き1人)

 

浦和

in5

out7人(金原付き3人)

 

大宮

in11

out10人(期限付き3人)

 

in5

out8人(期限付き2人)

 

FC東京

in10人(期限付き1人)      ※マテウス(SEヴィトーリア)

out10人(期限付き2人)

 

川崎F

in8人(期限付き2人)        ※パトリック(アトレチコ・ゴイアニエンセ)

out10人(期限付き2人)

 

横浜FM

in9

out8人(期限付き3人)

 

甲府

in7

out11

 

新潟

in8人(期限付き1人)

out14人(期限付き3人)

 

清水

in9

out13人(期限付き7人)

 

名古屋

in10人(期限付き2人)      ※ヘジス(セアラ)

out10人(期限付き3人)

 

G大阪

in8人(期限付き1人)        ※エブソン(パウリスタFC)

out8人(期限付き3人)

 

C大阪

in8

out17人(期限付き2人)    ※丸岡(ボルシアドルトムント)

 

神戸

in9

out12人(期限付き3人)

 

広島

in11

out11人(期限付き6人)

 

徳島

in10

out5

 

鳥栖

in11人(期限付き3人)

out10人(期限付き3人)

 

2013年のJ2移籍

札幌

in10人(期限付き1 人)     ※ヘナン(ローマ エスポルチアプカラナ)

out6人(期限付き2人)      ※横野(コンケーンFC

 

山形

in8人(期限付き1人)

out7人(期限付き2人)

 

水戸

in10人(期限付き3人)

out9

 

栃木

in10人(期限付き6人)      ※ドゥドゥ(METROPOLITANO-SP

out13人(期限付き1人)

 

草津

in9人(期限付き1人)

out8

 

千葉

in7人(期限付き3人)

out11

 

東京V

in11

out13人(期限付き1人)

 

横浜FC

in11

out11人(期限付き2人)

 

湘南

in13人(期限付き3人)

out17人(期限付き7人)

 

松本

in11

out14人(期限付き3人)

 

富山

in12人(期限付き1人)

out12人(期限付き3人)

 

磐田

in8人(期限付き1人)

out13人(期限付き1人)

 

岐阜

in10人(期限付き1人)

out16人(期限付き2人)

 

京都

in10人(期限付き2人)

out14人(期限付き1人)

 

岡山

in11人(期限付き2人)

out10人(期限付き3人)

 

讃岐

in10人(期限付き1人)

out7

 

愛媛

in13人(期限付き3人)      ※ムンドンジュ(FCソウル)

out17

 

福岡

in9人(期限付き4人)

out11人(期限付き1人)

 

北九州

in9人(期限付き1人)

out8人(期限付き1人)

 

長崎

in13人(期限付き4人)

out12人(期限付き2人)

 

熊本

in13人(期限付き2人)

out12

 

大分

in9人(期限付き5人)

out16人(期限付き2人)

 

 

2012年のJ1移籍

仙台

in8人(期限付き1人)        ※ジオゴ(スポルチレシフェ)

out8人(期限付き1人)

 

鹿島

in7

out9

 

浦和

in7

out6

 

大宮

in6

out8人(期限付き2人)

 

in11人(期限付き1人)      ※クレオ(広州恒大)

out18人(期限付き5人)

 

FC東京

in6人(期限付き1人)        ※李(サウサンプトンFC

out9人(期限付き6人)      ※梶山(パナシナイコス)ロベルト・セザー(蔚山現代FC

 

川崎F

in10人(期限付き1人)      ※パトリック(アトレチコ・ゴイアニエンセ)

out10人(期限付き4人)

 

横浜FM

in8

out12人(期限付き5人)    ※大黒(杭州緑城)

 

湘南

in14人(期限付き4人)

out12人(期限付き4人)

 

甲府

in13人(期限付き3人)

out13

 

新潟

in11人(期限付き2人)

out16人(期限付き5人)

 

清水

in15

out13人(期限付き2人)

 

磐田

in8人(期限付き1人)

out7人(期限付き2人)

 

名古屋

in7

out7人(期限付き1人)

 

C大阪

in10人(期限付き2人)      ※エジノ(ティグレス)

out9人(期限付き3人)

 

広島

in5

out6人(期限付き2人)

 

鳥栖

in12人(期限付き3人)      ※ロニ(サンパウロFC

out8人(期限付き1人)

 

大分

in11人(期限付き1人)

out10人(期限付き1人)

 

2012年のJ2移籍

札幌

in10

out14

 

山形

in13

out12

 

水戸

in8

out13

 

栃木

in9人(期限付き3人)        ※クリスティアーノ(レッドブル ザルツブルグ)

out11

 

草津

in14人(期限付き3人)      ※ジュニオール・アウベス(グレミオバルエリ)

out11

 

千葉

in6

out8

 

東京V

in18人(期限付き1人)

out22人(期限付き4人)

 

横浜FC

in13人(期限付き2人)

out9人(期限付き1人)

 

松本

in19人(期限付き3人)      ※ホドリゴ カベッサ(デスポルティボブラジル)

out22人’期限付き3人)

 

富山

in9人(期限付き2人)

out10人(期限付き1人)

 

岐阜

in13人(期限付き2人)

out21人(期限付き2人)

 

京都

in12人(期限付き2人)

out11人(期限付き4人)

 

G大阪

in5

out11人(期限付き3人)

 

神戸

in14人(期限付き2人)      ※マジーニョ(パルメイラス)

out12人(期限付き2人)

 

鳥取

in14人(期限付き5人)

out16人(期限付き2人)

 

岡山

in10人(期限付き1人)

out14

 

徳島

in12人(期限付き3人)

out10

 

愛媛

in12人(期限付き4人)

out13人(期限付き1人)

 

福岡

in10人(期限付き1人)

out13人(期限付き1人)

 

北九州

in20人(期限付き2人)      ※アンヨンギュ(水原三星ブルーウイングス)

out23

 

長崎

in10人(期限付き4人)

out2

 

熊本

in9人(期限付き1人)

out9

 

 

こうしてみると、期限付き移籍の制度を利用していないクラブのほうが少数だというのが分かる。

そして、J1クラブよりもJ2クラブのほうが更にこの制度を上手に使っているというというのがよく分かる。

そして、どのチームがこの制度を上手く使っているかが分かる。

 

■海外での事例

ちなみに、海外でも期限付き移籍の例は沢山ある。しかも、日本人選手が関係しているケースも沢山ある。

 

例えば、宮市亮(湘南に加入した宮市剛は弟)。中京大中京高を卒業後、イングランドのアーセナルに移籍したが就労ビザの問題でイギリスではなくオランダのクラブでプレー。そこでの活躍が認められチームに一度は戻るが、出番を求めて再びレンタルで他のクラブ(同じプレミアリーグ)へ期限付き移籍している。まあ、名門アーセナルでのレギュラー争いは厳しいのが当たり前。外で修行するという選択肢は悪くない。しかし、チームも将来性などを買っているので完全移籍ではなく、レンタルで出している。

 

逆のパターンもある。それがFC東京にいた長友佑都の場合。日本国内からイタリアに挑戦という意味も含め、当初はレンタル移籍でチャレンジするが、そこから完全移籍へと変わってく。まずはじめに完全移籍のオプション付きでチェゼーナに加入。そのまま完全移籍を果たす。すると、その後はすぐに名門インテルに才能を買われレンタルで出向くと、そのまま完全移籍へ。最近ではキャプテンマークまで巻いた大出世選手。そして、今やインテルでも日本代表でも看板選手になっている。

 

 

つまり、レンタル移籍と言っても様々。サッカーの世界で認められたルール。なので、その使い方をどうするか。上手く使ったクラブ、選手が特をする。

 

しかし、この制度で一番危惧をしていることもある。クラブの都合、資金調整のために選手の将来を考えず簡単に期限付き移籍で外に出すこと。育成の役割を放棄したやり方には反対したい。

 

昔、湘南で監督を務めた反町康治さんは、「監督の俺が、その選手にこのチームでやっていける力がないと認めたから外に出す(レンタルで出した)。そこで大活躍して、サポーターになんで出したんだ?その責任が誰にある?と聞かれたら俺にある。しょうがないだろう」というようなことを話してくれた。

期限付き移籍で出る選手も、出すクラブも、これくらいの覚悟を持って欲しいと思っている。