■清水エスパルス vs 大田韓国水力原子力

 131日 三保グラウンド 14時~

 

■結果

清水 3-1大田

45分×2本)

 

■得点

清水:

1本目:長沢駿(26分)、長沢駿(33分)

2本目:竹内涼(40分)

大田:13

 

■先発

◇清水1本目

----------長沢----------

高木俊----高木善----大前

------村松-----本田-----

河井---ヨン---ヤコ---吉田

----------相澤---------

 

◇清水2本目

----------ノヴァ----------

村田------長沢------大前

------村松-----竹内-----

河井---ヨン---ヤコ---吉田

----------櫛引---------

 

■交代

1本目:

高木善→ノヴァコヴィッチ(40分)

本田→竹内(40分)

 

2本目:

村松→六平(20分)

大前→石毛(20分)

吉田→藤田(25分)

ヨンアピン→三浦弦(33分)

ノヴァコヴィッチ→金子(40分)

 

 

■新戦力チェック

新加入組でプレーしたのは5人。

 

相澤 貴志:

経験値があるだけに、ゲームの流れを読んで積極的に声をかけている。特に大きな声はよく通る。後ろから声があると選手は安心するので、声が大きいのは凄く長所だと思った。プレーに関しては特に悪いところはなかったと思うが、パスミスからの失点は、そうなる前に声で統率をしたかったところだろう。また、だからこそよく声が出ていたのかもしれない。セットプレーなどを見ていても安心感もあるので大丈夫だろう。

 

ヤコヴィッチ:

高さもあるが、足の長さが印象的。スライディングをしてボールを絡めとるプレーでは、そこまで出てくるかという印象を受ける。おそらくJリー グの中でも相当リーチが長い選手であることは間違いなく、対戦相手は戸惑うことだろう。また、足が長いためなのかバックステップの幅が広く、意外と素早い という印象。よーいドンの早さは、試合の中でそういうシーンが殆ど無かったため判断しにくいが、ボール奪取のために前に出て、すぐにラインに戻るという動 作はスムーズかもしれない。

 

高木 善朗:

プレー時間が思ったよりも短かった。入団会見で語っていたような中央からの攻撃をしようという姿勢は見せるが、サイド攻撃に慣れたチームとフィットするにはまだ時間が短かったのかもしれない。あとは、前で受けるのではなく、下がって受ける機会が多かったため、自分の特徴は出しきれていない印象。預けて、リターンを 受ける。そういうプレーが増えてくれば違ったと思う。

 

ノヴァコヴィッチ:

まさかとは思ったが、長い時間プレーをした。ピッチに入るとき、スパイクを履いていたので、もしかしたら出るかな?程度に考えていたため嬉しい悲鳴。プレーの方は得点こそ無かったが、存分にレベルの高さを見せたと思う。とにかくワンタッチでの落とし、くさびの受け方などが上手い。しかも、収まって奪われないので中盤の選手たちはやりやすいと思う。まだコンディション的にも十分でないことを考えると、自分で持っていくよりも人を使ったほうが良いという判断だったかも しれないが、人を使うことも、人に使わることもできるタイプであるというのは、この試合を見ただけでも分かる。

 

金子 翔太:

5分ほどのプレーだったため多くは判断できない。しかし、すばしっこさは感じた。試合後に話をしたら、村田がよく面倒を見ていて、そのお陰なのかチームには慣れた様子。ただ、2月からは新人研修などもあり、チームから再び離脱。鹿児島キャンプではとにかく頑張って監督にもアピールし、チームメイトにも自分のプレーを示すこと、そしてチームに溶け込んで出番を多くしたいところだろう。

 

■気がついたこと

長沢駿の評価が上がっているように感じた。2ゴール(1ゴール目は、「えっ俺の1点目ですか?俺らしいけど、実は相手の足に…」なんてことも言っていたが)という結果は勿論だが、90分フル出場していることからも監督は使いたかった、もしくは長い時間プレーを見たかったというのが分かる。そして、特に2点目のシーンでは相手の上からヘディングを叩きこむなど、入っていく強さを感じた。本人に聞いても体重は増えているとのことだし、昨シーズン松本でしっかり鍛えてきた結果だと思う。

ちなみに、松本の反町監督は湘南時代からフィジカル、特に走力を上げる練習を多く取り入れる監督だったし、松本もそういう要素が強いチームなので、駿くんにとっては収穫だったのではないかと思う。

 

 

また、驚きだったのはノヴァコヴィッチがプレーしたこと。途中から長沢と190cmオーバーの2トップを組んだ。

実際は横並びの形ではなく、縦の形(システム上は4-2-3-1もしくは、4-2-2-1-1に近いか)だったが、前線に190cmオーバーの選手が2人並ぶと迫力がぜんぜん違う。過去を振り返ると高さに欠ける印象があったチーム(ラドンチッチ、バレーは居たが)だが、これで一気に迫力が増す。そして、試合展開によってはDFがラインからの放り込みにも対応できる。これはひとつの武器としても有効だし、クロスに対して中で2人入ってくるとなれば、それだけで確率は上がる。

 

そして、高さは守備でも重要な要素となる。

何本かCKなどセットプレーのシーンがあったが、長身の選手がこれだけ居ると守りやすい。

まず第一に、コーナーとゴールの間にストーン(石)として1人を配置しニアのコースを切ることができる。そして、ストーンに高さがあると相手は曲がって落ちるボールを正確に蹴らないといけなくなるのでストーンの高さは重要。

そして、余った他の長身選手は相手キーマン(FWとかCBの選手)をマークさせることができる。大体どこもエースストライカーと、CBでヘディングの強い選手が居る。おおまかにFW1人、CB2人。そこにマッチアップさせるための人数が必要(昨年は体幹の強い吉田や村松、杉山がマーカーとなったがミスマッチが何度もみられた)。しかし、長沢、ノヴァコヴィッチ、ヤコヴィッチ、ヨンアピンと、このように長身選手が複数人いればかなり有利になることは間違いない。

これは逆も同じ。攻撃になったときに、ゴール前へ長身選手4人(平岡が復帰すれば5人となる可能性も)を送り込めるというだけで、相手にとっては脅威となる。

 

 

そして、これが高木善の起用法とも関係してくる。

 

この練習試合では高木善が早々に交代でベンチに退いた。これは駿くんのプレーが良かったこともあるが、チームとしてもサイドからの攻撃のほうが現時点では有効であるという結果になったからだと思う。

中央でボールを受けて、そこから仕掛けて崩す高木善の動きは、まだ今はアクセントにならず少しぎこちない感があった。だから、そこにボールを出し次の動きをする選手が少なかった。

逆に、2点目のように本田のロングパスに吉田が反応し、クロスを入れて中の長沢のヘディングシュートという王道パターンのほうが僅か始動して2週間のチームでも綺麗に出せた。これは、もともとそういう下地があるからともいえるし、フィニッシャー役が変わってもそこに至るまでのやり方やパス、動きは昨年の経験値もあり再現できる。

しかし、中央でゲームを組み立てる役目である高木善はピッチに居たものの、そのポジションにボールを入れて崩すというチームの意識が高まらないとなかなかスムーズにはいかない。高木善とすれば、それでも今は監督とチームに認めさせて自分の良さを出していかないといけない。それが加入間もない選手の役目である。

 

 

□そして、長身FWが好調な中での弊害

更にここから派生した問題が2つ。

 

1つはボールが中央を経由しない場合の崩し方。

中央を使わない場合、相手のDFラインを崩すためには工夫が必要になる。サイドからサイドにボールを動かしていくのもひとつの方法。しかし、その場合はサイドハーフからSB、ボランチなどを経由して逆サイドに持っていく。そうなると相手もしっかりブロックを作るため壁は厚くなる。

 

そこを崩すにはどうするのか。

単純に高さを利用するのと、ミドルレンジからのシュートが解決方法になる。

その意味では、この試合ではノヴァコヴィッチと駿くんという高さがあった。

そして、竹内が決めた3点目のようなミドルレンジからのシュートがあった。

 

結果を見れば、1点目は足元だったが、結局はサイドからのクロスからの得点。そして2点めも駿くんの高さだったということを考えると、現有戦力と、サイドからの攻撃でしっかり2点を取り、最後は竹内のミドルで3点めを奪うことができたのは、試合に出ている選手と、これまでのやり方を考えると想定内だった。

 

しかしである。

逆に言えば、中を崩しラストパス、スルーパスでゴールというシーンは無かった。

となると、ポイントは高木善をどう使うかということになるのかなと思った。必要だと思ったから獲得した新戦力。使わない手はない。それには、これからいかに早くどうチームの中に組み込んでいくのかが課題かなと感じた。

 

そして、もう一つ。

気になったのは最終ライン。新加入のヤコヴィッチは高さもありボールを取る技術もありそうだ。しかし、GKとの連携を含めたところでやや熟練度が必要。右SBの選手とも活発に意見を出し合っていたようだが、試合の中では何度かラインが低くなっているシーンが多かった。そのため相手にリズムを握られた時間が目についた。

これは単に言葉の問題なのか、それとも外国人CB特有の前には強いけれども後ろには弱いということなのかは選手に直接聞いてみたいと思う。しかし、いずれにしてもGKSBが押しあげたいと思っていても上がらないというシーンがあった。そのため中盤でスペースが出来て、そこを使われる。前半の立ち上がりとか、失点シーンを見てもそういうところの解決は必要かなと思わせた。

 

特にサイド攻撃を使う場合、SBがオーバーラップしているシーンが多い。それでも、クロスを上げるなりシュートするなり、最後までやりきってくるなら問題がない。もしくは、ボールがタッチラインを割るなどプレーが切れるならDFがラインに戻る時間もある。

しかし、サイド攻撃一辺倒で攻めあぐねいていると、ボールを回せていても崩し切れず、ちょっとしたミスからピンチを招くことになる。

そのとき、しっかりとラインを上げてスペースを消していれば相手FWも動けるスペースが限られ、DFが密集したエリアでボールを奪うこともできるし、オフサイドを狙って取ることもできる。

 

しかし、前線に長身FWが揃ったうえにノヴァコビッチはしっかり収まるので後ろからアバウトに入れてもタメができる。そうなると、DFにラインは早めにボールを入れたくなる。チームとしてリスクを避けるためにシンプルな作戦をとる。そうなると、DFラインが細かい上げ下げをしなくなる。

そして、ゴール前を守る2CBも高さに自信があると、「前で弾けばいい」という考え方に落ち着いてしまう。まあ、こればっかりは実戦で修正していくしかないと思っているし、平岡や杉山が復帰すれば、また違ったアプローチもあるのでこの心配は無用かもしれない。

 

いずれにしても、大田韓国水力原子力(Kリーグ所属ではない。日本でいえばJFLレベルと考えていいだろう)を相手に、3点奪って勝利したことは素晴らしい結果。

そして、清水が本来持っている実力をしっかり発揮した結果と思うし、昨年までやってきたサイド攻撃がしっかり出せていたのは、これまでの積み重ねだと思う。そう考えると、チームが始動して僅か20日程度のチームとしては十分な内容だった。


中央からの攻撃に関しても、練習をこなし、選手たちももうちょっと動けるようになれば連携も増すし攻撃のパターンも増えるだろうから、高木善を活かすやり方も増えてくると思う。そして、チームとしてそういう練習も組み込まれていくだろう。そう考えると、鹿児島キャンプでのさらなる成長に期待したい。