最近、ネットでもニュースになっている岐阜。

ラモス瑠偉監督を迎え、川口能活、三都主アレサンドロら元日本代表選手を獲得。潤沢な資金をバックに迎え、一気に金満チームへの変貌を遂げるのだろうか。

 

ことの発端は20121225日、FC岐阜の公式HPで「藤澤信義氏・Jトラスト㈱代表取締役社長によるFC岐阜支援のお知らせ」が発表されたところからだろうか。

http://www.fc-gifu.com/news/post-2028.html

 

※藤澤氏と会社に関してはググってみれば分かるので、自分で調べてください。

ちなみにYahoo!ファイナンスには、「事業者金融発祥。買収でクレジットカード、消費者金融、保証、韓国の銀行に多角化、急成長」と書かれている。まあ、簡単に言えば金融業で一気に大きくなった会社。特に吸収合併を繰り返していき、傘下にはクレジットカード会社などがあるので経営としては基盤が硬いかなと。

 

このJトラスト㈱の支援が決まり、昨年末には藤澤氏が「(FC岐阜の強化費は)5億でも10億でも」と発言した。そして、この発言を受け昨年末にFC岐阜の流れが変わった。

 

そして、ラモス監督の就任が決まり、新加入選手が続々と決まった。

 

2014年シーズン加入

ラモス瑠偉 監督

ヘニキ                  [←Criciuma(ブラジル)

川口 能活            [←磐田]

三都主アレサンドロ[←栃木]

深谷 友基            [←大分]

木谷 公亮            [←鳥栖]

太田 圭輔            [←徳島]

チアゴ                   [←名古屋/期限付き移籍]

高地 系治            [←横浜FC

難波 宏明            [←横浜FC

宮沢 正史            [←大分]

田中 智大            [←FC岐阜SECOND]

 

元日本代表として活躍した選手としては、監督に就任したラモス(32試合)、そして元日本代表の川口(116試合)、三都主(82試合)の3人。日本だけでなく海外での経験値もあり、他の獲得選手と比べても突出した経歴を持っている。

ドーハの悲劇を経験した監督、マイアミの奇跡の川口、パイナップル頭(そこか!?(笑))の三都主。彼らはネームバリュー、知名度としても相当なものだ。

 

また、深谷(大宮、大分で207試合)、木谷(仙台、鳥栖などで297試合)、大田(清水、柏などで239試合)、高地(鳥栖、横浜FC305試合)、難波(横浜FCや水戸で152試合)、宮沢(FC東京、大分などで259試合)と、J1J2200試合以上出場している(難波がちょっと足りないけど)歴戦の猛者ばかり。昨年までの登録選手と比べても実績のある選手ばかりだ(ただ、それぞれの年齢的をみると、これからピークを迎える選手ではない感があるのは否めない)。

 

それでも、練習場にはラモス監督や、川口、三都主を一目見たいという人が二重三重に輪を作って見学しているという。勿論、そんな状況なので練習後にはサインを求める人だかりができてしまい、ラモス監督も「こんなに多いと、全員にはできないぞ」なんて言ったとか(でも実際は可能な限り対応したというからさすがだ)。しかし、この状況にはチーム広報さんも驚いたに違いない。

 

 

■そんなFC岐阜だがつい最近までは存続の危機だった。

 

2009年にはJリーグに5000万の借金をしている。また、Jリーグに加入した2008年以後の順位をみても、13位(15チーム)、12位(18チーム)、14位(19チーム)、20位(20チーム)、21位(22チーム)、21位(22チーム)という散々たる成績。昨年はなんとかJ3への降格を回避。

ここにJリーグへの借金問題もあってか、選手を獲得する場合も協会にお伺いをたてないといけなかったり(赤字にならないようにするため)苦しい時期が続いた。そのため新人を獲得するよりも、他クラブからのレンタルなどを使っての強化しかできずなかなか勝てないという悪循環に陥っていた。


しかも、このまま赤字が続くようならばJリーグライセンスの剥奪の可能性もあった。そうなればチーム存続の危機ということもあったのだ。

成績が好転しないとお客さんも増えないし、スポンサーも増えない。この三重苦に、チーム存続の機器まで振りかかるまさに四面楚歌の状況だった。

 

しかし、そこに神が舞い降りた。地元出身であるJトラスト㈱の藤澤氏が支援を決める。そして、強化費は「5億でも10億でも」という発言があった。

 

そもそも、その金額を聞くだけでも凄いけど、提示した金額の差が5億もある点がまたもの凄いことだと感じる。どこの世の中に5億ものどんぶり勘定ができる人がいるだろうか。

 

例えば、5億という金額でいえば近年のJ2では殆どのクラブの強化費をまかなえる。もし、10億ともなればJ1でも甲府や新潟、仙台と肩を並べるかもしれない。そんな強化費を使えるチームがJ2リーグで戦うとなれば、チェルシー化は簡単ではないだろうかとも思う。

 

しかし、実際いきなりそれだけのお金が使えるからといって即戦力、代表クラスをバンバン獲得できるということではない。しかも、支援を受けるというのが決まってからシーズンインまでは時間も無かった。

その時点では他のクラブの編成もあったし、既にトライアウトも始まっていたので目ぼしい選手には既に水面下で交渉が行われていたはずだ。それだけに、いきなり実力選手を連れてくるには難しいタイミングであったと予想できる。

 

■注目は、今シーズンオフだ。

 

しかし、落胆する必要はない。

既に今の段階でも、「岐阜はお金を持っている」「代表クラスの強化をしている」というイメージが一般にも、Jリーグを戦う選手たちにも付いた。それに、今シーズン1年もあれば選手同士の口コミで簡単に情報が広まるはずだ。勝利給や前泊するホテルのグレード、その他の待遇など、そういうところも実際に口コミで伝わればプレーする機会を求め、移籍を考える選手は出てくるだろう。

 

例えば、昨年のオフには名古屋が経営規模を縮小した。

その結果、藤本、増川、阿部、田中ら主力クラスがクラブを離れることになった。他にも、日本代表クラスでいえば鹿島の岩政が退団するという例もある。更に名前をあげれば、永井、西、巻、黒部、金沢など錚々たるメンバーも新天地を求めている。それだけに、時期がもう少し早ければ彼らの獲得も可能だったのではないかと思う。

そして、今年のオフも各クラブの経営状況次第では元日本代表クラスの選手が移籍市場に出てくる可能性は否定出来ない。特にクラブライセンスの問題が出ているところは尚更だ。

 

だが、本家チェルシーにしても、2003年にロシアの石油王アブラモビッチがチームを買収したが、実際に強くなったのは翌年の2004年にFCポルトからモウリーニョ監督を招聘してからだった。

モウリーニョの経歴は今更詳しく書くことでもないが、彼はポルトガル国内でも評価の別れる監督であったがFCポルトでの成功を踏み台に、その後チェルシーで指揮をとることになり世界的にも有名な監督となった。

最果ての地ポルトガルのクラブでは大きなお金を動かすことができなかったが、アブラモビッチというスポンサーを得てお金を使えるようになったことで、理想とする選手を獲得し、自分の求めるサッカーを貫いた結果、更に評価を上げた(と思っている)。


そして、それからは監督の目指すサッカーに合った選手を、移籍金や年俸を気にすることなく獲得し常勝軍団へと変化していった。


しかし、1年目はRカルバーリョ、PフェレイラらFCポルト時代から起用した信頼の置ける選手を即座に獲得した。これは自身の理念をチームに浸透しやすくするためでもあった。そして、逆に前線にはドログバ、ロッベンといった個で勝敗を決めることができる世界クラスのFWを獲得した。規律ある守備と、破壊的な個性ある攻撃力、これが勝因だったように思う。

 

そう考えると、単にお金があるからチームが強くなるのではなく、監督やクラブの考えるサッカーを表現できる選手を獲得し、試合でも活躍できるようにチームに落とし込まないと話にならない。

だから、FC岐阜が日本のチェルシーになれるかどうかは、藤澤氏が潤沢な資金を援助できるからと短絡的に結びつかない。むしろ、そのお金を使うクラブと監督がどれだけ正確に未来のビジョンを描けるかにある。それができて初めて常勝軍団、チェルシー(ギフシー)となる。

 

そして、選手獲得と共にクラブハウス問題などハード面での整備も必要となるだろう。

そう考えると、1年や2年で強豪クラブになるのではなく、中期的な計画のほうが良いように思う。

実際、ラモス監督は今シーズンの目標を「10位」としているようなので、単純な金満チームに

はならないような気がする。


いずれにしても、まずはラモス監督の手腕に期待したい。そして、ラモス監督のコネクションが今年のオフに活かせれば確実な補強ができるだろう。TVでも露出は増えていきそうな印象があるし、注目が高くなれば選手たちのモチベーションにも影響する。そうなればプラスの効果が生まれチームは上昇気流を描くことになるだろう。

 

 

■予想フォーメーション

昨年をベースに2014年布陣を勝手に予想

新加入選手では、高地、宮沢、三都主と左利きが多いので、揃って左サイドに配置した

 

------難波--スティッペ----

    (中村)

高地----------------大田

(美尾)

------宮沢----ヘニキ----

                  (益山)

三都主木谷---深谷杉山

(野垣内)

----------川口---------