■2014年 J1第2節
清水エスパルス vs 横浜Fマリノス MR
3月8日 IAIスタジアム日本平 15時00分~
■メンバー
◇清水
先発:
GK 1櫛引 政敏
DF28吉田 豊
DF 3平岡 康裕
DF 6杉山 浩太
DF 4カルフィン ヨン ア ピン
MF19ヤコヴィッチ
MF 5村松 大輔
MF10大前 元紀
FW11高木 俊幸
FW18ノヴァコヴィッチ
FW 9長沢 駿
サブ:
GK21相澤 貴志
MF 7本田 拓也
MF 8石毛 秀樹
MF16六平 光成
MF17河井 陽介
FW22村田 和哉
FW23高木 善朗
監督:
アフシン ゴトビ
◇横浜FM
先発:
GK 1榎本 哲也
DF13小林 祐三
DF 4栗原 勇蔵
DF22中澤 佑二
DF23下平 匠
MF 8中町 公祐
MF27富澤 清太郎
MF25藤本 淳吾
MF10中村 俊輔
MF11齋藤 学
FW16伊藤 翔
サブ:
GK30六反 勇治
DF15ファビオ
DF24奈良輪 雄太
MF 6小椋 祥平
MF 7兵藤 慎剛
MF20佐藤 優平
FW 9矢島 卓郎
監督:
樋口 靖洋
■フォーメーション
◇清水
----------長沢----------
高木俊-----ノヴァ----大前
------杉山----村松------
キャラ—ヤコ---平岡---吉田
----------櫛引---------
◇横浜FM
----------伊藤----------
齋藤------中村------藤本
------富澤----中町------
下平---中澤---栗原---小林
----------榎本---------
■スタッツ
◇得点
横浜FM:齋藤 学(13分)
◇警告・退場
清水:
23分 杉山 浩太
75分 杉山 浩太(2枚目退場)
横浜FM:
68分 小林 祐三
70分 伊藤 翔
71分 富澤 清太郎
87分 中町 公祐
■交代
◇清水
57分 高木 俊幸 → 村田 和哉
57分 吉田 豊 → 河井 陽介
81分 長沢 駿 →本田 拓也
◇横浜FM
81分 齋藤 学 → 兵藤 慎剛
90分+4分 伊藤 翔 → 矢島 卓郎
■レポート
清水は予想していた先発とは違い、ヤコヴィッチ(メンバー表ではMFだが)を最終ラインに入れてきた。これにより、ヨンアピンは左SBにスライド。右から吉田、ヤコヴィッチ、平岡、キャラという並びになった。そして、ボランチには出場停止明けの村松と杉山がコンビを組む。開幕戦でスタメンだった竹内はベンチにも名前がない。
試合は、横浜FMの樋口監督が、「DFラインのギャップの部分をどう突くかというところは、チームとしての狙いが出せたと思います」と言うように、横浜FMがスカウティング通りの試合運びを見せた。立ち上がり3分には藤本がヤコヴィッチにプレッシャーをかけ、伊藤がミドルシュートを放つ。そして、その後は少し長めのボールを使いDFラインの裏に蹴るなど揺さぶりを仕掛けてくると、清水はその対応に苦労し「前半は、みんな繋げていなかった。落ち着いてプレーできなかった」(大前)ため、立ち上がりからバタバタした入りになる。更に輪をかけてしまったのが、13分の失点シーン。やはり狙い通りの長いボールが富澤から出ると、しっかりとバックスピンがかかったボールを確実に齋藤が収め、対応に遅れた吉田をかわしドリブル突破。そのままゴールを奪って横浜FMが先制に成功した。
これにより、清水は更に統一感を失った。実際、「このパフォーマンスは受け入れらない!」とアフシン・ゴトビ監督はHTにコメントしている。
先制を許すと難しい展開になるのは昨年までのチームを見ていても分かるが、この日は更に失点のリスクを回避するためにセーフティーファーストのプレーを選択したことが影響した。初先発のヤコヴィッチをケアするという意図もあったと思うが、簡単にボールを前に蹴ってクリアしていけば、リスクは回避できるが選手間の距離が間延びしてしまいボールが回らない。そうなると、相手ボールへのプレッシャーも個、もしくは単発で仕掛けるしかなくなった。
判りやすい例を挙げると、清水が攻撃に出た際に横浜FMは1人に対して2人以上が距離を詰め自由を奪いに来るが、反対に横浜FMの選手がボール保持している場面では1対1、もしくは距離が遠くパスコースを消すだけでフリーにしてしまうシーンが目についた。実際、失点のシーンしかりである。こうやって距離が離れてしまった清水の状況を見て、横浜FMは得意のハードワークでプレッシャーをかけてくる。中村や中町という試合の流れを読むことできる選手、緩急のスイッチを入れられる選手が居ることも影響するが、そうやって相手の混乱に乗じて試合のリズムを掴んでいった。やはりボール保持率が高まれば、試合巧者に見えてくるのは仕方がない。
それでも後半の立ち上がり、指揮官の発破に奮起したチームは活動量を増やし同点を狙いに行く。57分には村田、河井を投入しサイド攻撃の圧力を強めた。この交代の狙いは良かったと思う。左右両足の使える河井を入れたことでパスのバリエーションが増え、村田が入ったことで右サイドでの縦へのスピード感を増やそうというのは面白いと思った。そして、サイドに張り付いてしまい消えていた高木俊のサイドに大前が来たことで、こちらにも変化が生まれた。しかし、77分に杉山が2枚目の警告を受け退場。数的不利となり状況は更に苦しくなった。結局、試合はこのまま0-1で敗戦した。
敗戦した試合ではネガティブなポイントがどうしても目につくのは仕方がない。中でも特に早急に改善しなければならないのは距離感だろう。長谷川前監督のときも、サイド攻撃を主体としたチームだったが、最終ラインとFWとの距離を常に意識したサッカーを目指していた。それは、監督が常々言っていたが、全体をコンパクトにする理由は相手にスペースを与えないためだった。しかし、現チームは全体をコンパクトにするためには、DFのラインを高くしたいが、初先発のヤコヴィッチ、左SBでプレーするキャラと平岡、吉田らとの連携に欠ける。勿論、ヤコヴィッチが加入して間もないこと、キャンプも怪我で出遅れていたことなども考慮しなくてはならないのだが、この試合ではアラが目立った。また、DFラインを上げるならば、前からのプレスと連動しないとならない。でなければ、シンプルに前に蹴られて裏のスペースを狙われてしまう。その対応をどのようにするのかという課題を消化しなくてはならない。2トップがどこまで追いかけるのか、チャレンジが失敗した場合、中盤の誰がカバーに行くのか。ボランチがケアするのか、サイドがフォローするのか。そのあたりの決め事に統一感が無かった。
アフシン・ゴトビ監督の戦術は、選手間の距離を(広めに)保ちピッチを広く使う。しかし、今後は少し方向性に修正が必要だろう。特に横浜FMのような前からガンガンくるチームの場合は尚更だ。昨年の終盤戦でチームが好調だったのは、大前、本田、ラドンチッチが加入しただけではない。トップ下に伊藤が入ったことで、彼が運動量を活かし前からのプレスを仕掛けスペースを消して、パスコースを限定できていた。その結果、DFラインはパスの出てくるコースを予測、もしくはドリブルのコースを予測してボールを奪うことができた。だから、守備での奪いどころがハッキリしていた。そうなれば、奪ってからのカウンター、サイド攻撃もできた。しかも、トップにはラドンチッチが残っているのでボールを奪ってから早めに当て状況をひっくり返すこともできた。そうなれば、大前や高木俊もサイド攻撃にアクセントをつけることができる。しかし、今は2トップが前に残る傾向が強く、クサビのパス、縦へのパスが入ることが少なく、全てがサイドを経由しなくてはならない。そうなると選手間の距離が遠くなり、結果的に相手への圧力も弱まってしまった。そうなると、大前、高木俊は相手SBやサイドハーフと対峙したとき、個で剥がすことができなければ数的優位に持って行くことは難しい。
それでも、終盤に大前が2度の決定機を演出したのはポジティブな収穫。1つはGK榎本の正面という不運、2つ目も判断早くシュートしたがサイドネットという運の無さに見舞われたが、どちらかが決まっていれば勝ち点1獲得に…というシーンを作った。そういう意味では、清水の中では大前というタレントが突出した存在であることは間違いない。そして、1つ2ついいプレーが続けば得点の可能性は作れるということでもある。あとは、そうしたシーンを如何に多く作れるのか。作ろうというプレーをするのか。それが、次の試合の課題であり、これからの課題になりそうだ。まあ、ポジティブに言えば第2節で課題が露見したというのは、早めの修正が可能という意味でもあるので、まずは連敗しないことが大事ではないだろうか。
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