先日の札幌戦を見ていて感じたのが、遠藤航の攻撃力の高さだった。かつては反町監督のもとで、また現在はチョウ・キジェ監督のもとで3バック(現在は主に右CB)のレギュラーとして活躍している。ユース在籍時にはヒョロっとした印象を受けたが、当時のコーチも驚くほど急激に身長が伸び筋力も追い付いてきた。そうしたこともあり、即座にトップチームへ合流。もともと持っていた足元の技術を武器に、ビルドアップや攻撃参加のできるCBとして重宝されてきた。

 

しかし、身長は178cmと代表クラスのCBと比べるとやや迫力に欠ける。勿論、身長だけでCBを語れる訳ではないが、湘南が過去J1に昇格したときに苦戦しているのは、このあたりにも理由があるように思う(実際、これまでも大野、丸山という180cm以上の選手をレンタルしてきていることからも、高さに関してはチームとしても足りないと自覚している)。

 

そこで、以前から個人的だが遠藤はボランチにコンバートしてはどうかと思っていた。成功例としては、やはり元湘南でCBとしてプレーしていた村松大輔がいる。彼は清水に移籍したことをきっかけに、本来のポジションから一列上げ、ボランチへとコンバートした(実は移籍当初はクラブから右SBとして考えていると伝えられていた)。やはり、村松も176cmCBとしては上背に恵まれなかった。しかし、裏を取られても後から追いかけ、その抜いた相手にすら追いついてしまう圧倒的なスピードと、外国人FWなどとガチンコで競ってもブレない体幹の強さがあった。そのため、CBではなく1つ前のボランチで潰し役としてプレーをしたら、持ち前の特長が見事にハマった。そして、いまではチームに欠かせぬ存在となっている。

 

遠藤も同様に、ボール奪取能力に長ける。しかも村松にはない技術がある。シュート力もそうだし、クロスの質も高いし、ゲームを組み立てることもできる。そうなればボランチへのコンバートは当然視野に入るし、次のステップへの良いチャレンジではないかと思っていた。しかし、ここにきて考えを改めた。

 

そう。札幌戦を見ていて、これはSBへコンバートしたほうがいいと思った。クラブ単位で考えれば、CBとしても十分欠かせぬ戦力であるのは間違いない。しかし、もっと上のベレルで考えると真剣にコンバートを視野に入れたほうがいいのではないかと思う(岐阜戦では難波の動きを気にしていたのか、それほど攻め上がることがなかったが)。

 

日本代表では長友、内田という絶対的なSBが居るが、その後に続く人材に欠ける。酒井高徳や酒井宏樹といったサブメンバーもいるが、トップ下やボランチという花型ポジションに比べたら競争は激しくないし、そこに続く人材は五輪世代、若年層を見てもそう多くない。

 

そこで、遠藤の右サイドバックへのコンバートだ。

 

何よりも、元CBということから守備面での貢献度は言うまでもない。そして、湘南スタイルで磨かれた運動量。もともとCBのポジションでプレーしていても、チャンスとみればゴール前に上がっていくプレースタイルを続けてきている。流れを読む目、頭脳はある。アップダウンできるスタミナも十分。そして、なによりも技術がありボールを奪われることが少ないのが大きい。サイドの高い位置で起点となり、そこからパスやクロスでゲームを作る。ある意味でのゲームメイカー的な役割をすることができる。運動量を武器にアップダウンでゲームを支えるタイプではなく、的確なポジションをとり攻守でチームを高い位置で動かす。そういったことが可能な選手ではないだろうか。そして、上背は無いがヘディングも強いので、時には逆サイドからのクロスに詰めてシュート。なんてことも可能ではないかと思う。

 

また、もう1つコンバートを進める理由がある。近年、湘南は3421というシステムを使う。この3バックは昔と比べたら随分と役割が変化しており、CBの要素だけでなく、SBやウイングの要素も求められる。そういう意味では近代的なDFのスタイルではある。しかし、世界に目を向けると4バックのチームが圧倒的に多く、欧州のレベル、代表レベルは勿論だが、長い年月で見ても4バックをスタンダードにしているところが多い。その意味では、右SBとしての経験値を早い段階で積んでおくことが大事ではないかと考える。

 

個人的にだが(笑)、清水へ移籍して右SBのポジションでプレーするのはどうだろう。現在、清水はSBの人材に苦慮しているため、攻守で信頼のできる遠藤は適任者ではないかと思っている(そうすれば、吉田を左SBに移動させることもできるので、より安定したゲーム運びができると思う)。

 

さて、まあ妄想的な原稿になったけども遠藤の右SBコンバートの考察として残しておく。


(C) 2014 tomo2take