1月26日、平塚競技場で開催されたフェスティバルを取材してきた。
その中で、新バージョンの湘南ベルマーレが見えてきた。
■キッズガード湘南フットボールフェスティバル Presented by FIELD MANAGEMENT
■結果
湘南 5-0 福島
■得点
湘南:宮市剛(35分)、古林将太(38分)、梶川諒太(62分)、永木亮太(69分)宮市剛(86分)
福島:
■先発
◇湘南
----------宮市----------
-----梶川------岡田-----
菊池---永木--エデル--古林
----三竿--丸山--菊地----
----------秋元----------
◇福島
----------小林----------
田村---内山---猪狩----新
----------石堂----------
大原---時崎---岡村---小峰
----------内藤----------
※交代は特別ルールだったので割愛
■リザーブメンバー
湘南:梶川裕、福岡、白井、前田、吉濱
福島:植村、岡田大、岡田亮、野田、山口、堀米、安東、益子、柴原、金、久野、河野
■新戦力チェック
さて、この試合では主に新鮮力の観察に力を注ぐ。
加入組でこの試合でプレーをしたのは12人。
それぞれ見て感じたことを書いていく。
秋元陽太:
GK。スタメンで出場したが、攻め込まれる場面も少なく自身がプレーする機会は少なかった。それだけに判断は難しいが、全体的に見ていて佇まいに安定感はあるし数度のプレーを見る限りフィードの精度も悪くなさそう。しかし、まだまだ試合感はこれからかなと。
菊地俊介:
右CB。 すっと前へ出ていくときの動き、パスカットのタイミングも悪くないしボールを奪ってから縦へ付けるパスもまずまず。クロスボールの対応などはなく高さを見 せる場面は殆どなかったが、数回の接触プレーからは競り合いにも強そうな印象を受けた。あとはボールを回している時もパスを受けるときのステップもまずまず。右利きだし、ポジション的にもこの位置が適正かもしれない。
丸山祐市:
中央CB。見ていても安心できるCB.。その理由は足元の技術にある。さすが学生時代にセットプレーのキッカーを務めていただけはある。ボール回しのときは左も右も問題なく蹴っているし、持ち替えて逆を向くときの動きもスムーズだった。中央でしっかりラインコントロールもできて、縦への付けるパスもできる。FC東京時代は左SBでプレーしていたのを見たが、中央が適正ポジションかもしれない。
三竿雄斗:
左CB。 ポジション的にも、ザ・左利きというプレーが多かった。試合の中では最もプレーの機会が多かったのでは?と思うほど。オーバーラップの回数も多く、走力、 キック力をある程度の回数を見ることができた。また、ボールを受けてからクロスを上げるまでの動き、足の振りも素早く全体的にいい印象が残った。上背もま ずまずあり対人能力もあるから、1年目から先発候補になりそうな予感。ちなみに、本人曰く「クロスはえぐって上げるより、アーリーのほうが多い」とのこと。
エデル:
ボランチ。持ち替えて左サイドへのパ スが得意ではないかと推察。そういうプレーというか動きが何度かあり本人も好んでいるように思う。裏を返せば逆サイドをよく見ているということ。しかし、 この日は夏のブラジルから冬の日本ということもあり動きは重かったし、パスミスもあり全体的にプレーの精度はいまいち。監督も、「これからだと思います」 と言っていたので今後に期待。
岡田翔平:
予想通りスピードがあることは分かった。一方で、意外とセカンドボールの落下位置やこぼれ球といったものの予測に長けという印象。そういう場所での感が冴えるのか、経験値なのは聞いてみないとわからないが、単なるラインの裏とり名人ではないようだ。恐らく、DFラインとの駆け引きや、動き出し、動き直しを続ける中で得た能力ではないだろうか。あと、前線からのプレスもお得意の様子。
宮市剛:
センターFW。この時期ということも考えると、十分にインパクトがあった2ゴー ル。本物のストライカーだ。そして、前評判に違わぬ実力。ボールに合わせる動きもいいし、ペナルティエリアに入ってくる動きと迫力に加え、ダイレクトに ボールをあわせることができるセンス。ポストプレーに関してはまだまだだが、これからシーズンインまでにフィジカルを上げていくことを考えると現時点では 十分。
後半から(だったと思うが)1トップではなく、シャドウにも入ったりして外へひらいてプレーすることもあった。兄はスピードが武器だが、弟も足は武器になりそうで面白い試みだと思う。もしかすると点の取れる大型ウイングにもなれそうな予感。
梶川裕嗣:
GK。秋元と同様にプレーする機会が少なく判断材料に乏しい。しかし、遠目で見てもサイズは十分だったし、足元の技術もまずまずありそうな感じを受ける。
福岡将太:
ボランチ。登録上はDFだが、交代出場で入ってプレーしたのはボランチ。そして、びっくりしたのがその躍動感。以外にも前に出てくるタイプだった。しかも、迫力のあるボレーシュートを持っていてスタンドを沸かせてくれた。本命はDFの右だと思うが、運動もあるしボランチやサイドでも彼は活きそうな印象が残った。その意味では隠れ注目選手。
白井康介:
長友系のダイナモといった印象。スピードは勿論だけど、常に動いている。そのため走る距離もかなりあるだろうがスタミナには自信があるということか。上背はないがすばしっこい感じで、右のワイドや左のワイドでのプレーがメインとなるか。昨年のJFLでは一度だけ福島の試合を見たが、そのときはシャドウでもプレー。まあとにかくよく動くので、シーズンを通して考えると指揮官としては助かる選手。
前田尚輝:
75分に永木と交代で出場。しかし、途中から両チームとも交代選手が多くなり、ポジションの確認もできなかったため残念ながら印象が残っていない。まあ、そういう意味では目立ったプレーをするタイプではないのかもしれない。これからしっかり見ておきます。
吉濱遼平:
シャドウやワイド。とにかく負けん気 が強いと聞いていた。強引なシュートも打てるし、そういう面ではメンタルも強そう。だから、仕掛けるドリブルから宮市へのラストパスなど、ギリギ リのシーンでもシュートとパスという選択肢を即座に選択できる。余裕というか選べる力をしっかり持っている。考えこむとドツボだけど、上手くハマれば面白 そうな感じを受けた。
■新システムも見えてきた?
◇基本となる3バック(図1)
----------宮市----------
-----梶川------岡田-----
菊池---永木--エデル--古林
----三竿--丸山--菊地----
----------秋元----------
◇守備時は5バック(図2)
----------宮市----------
梶川-----------------岡田
-------永木--エデル-----
菊池-三竿-丸山-菊地-古林
----------秋元----------
◇変速4バック(図3)
----------宮市----------
菊池------梶川------岡田
-------永木--エデル------
三竿---丸山--菊地----古林
----------秋元----------
※梶川か岡田がトップに入って宮市と2トップとなる4-4-2の形や、宮市が右サイドに流れ、丘だと梶川がトップに入るパターンも。
湘南は昨年と同じく、[3-4-2-1]がベース(図1)となりそうだが、この試合を見る限りでは昨年のやり方とは少し違う。
ほとんどが新加入選手だったこともえり、慣れたシステム(どこに在籍していても4バックは基本として身についている)を使ったのかもしれないが、今シーズンは4バックに近いこのやり方をどこかで採用するかもしれないのではないかと、このゲームからは感じた。
昨年の湘南は、守る時間には両ワイドが最終ラインまで下がって5バックのようになる。そうやってスペースを埋める(図2)。もしくは、攻めこまれたサイドに居るウイングが、その選手を最後までマークするため、最終ラインまで引っ張られていき変則4バックのような形になることがあった。それでも、守備時はだいたい5枚が最終ラインに居ることが多い。
しかし、この日は意図的に(だと思う)ボールを保持している時でも4バックのような形を見せた。それが図3。
まず、右WBの古林が下がってきて右SBに入り、3バックの3人(菊地、丸山、三竿)が1つずつ左にスライドしていく。そうすると、右から古林、菊地、丸山、三竿の並びになる。
利き足で言えば、右、右、左、左となる。
そして、中盤。ダブルボランチは変わらず、左WBの菊池が左MFとなる。梶川を含めたFWの3人は流動的にボジションを変えていたが、このへんはチョウ監督が新戦力の動きを見たかった部分も多いのではないかと推測する。
そして、この4バックだが実に動きの効率が良かった。古林は運動量も豊富で長い距離を走れるのは草津時代に証明している。そして、三竿は大学時代は左SBが本職のため、4バックでも3バックでも、最終ラインの位置からどんどん前に出ていくプレーを見せた。そして、前に出られたのはこのツルベの動きができていたから守備での(人数的)リスクを考えずに心置きなく攻めに上がれたとも言える。
そして、2CB。これは右利きと左利きという駒がしっかり揃ったから、それぞれ中央に置いてもボールを受ける動きにぎこちなさがない。しかも、丸山の足元は両方共問題無いときている。
ここに、遠藤や島村ら既存戦力が入ってくるとどうなるかはまだ不明だが、丸山と三竿の加入によって、湘南のDFラインはより高いレベルでプレーができるのは間違いないだろう。そして、常にこうした動きができるようになってくれば、試合の中でもスムーズに3バックと4バックを使い分けることができる。そうなれば再びJ1で戦うときに、ひとつの武器となることは間違いない。
以上、ここまでがキッズガード湘南フットボールフェスティバル Presented by FIELD MANAGEMENTから見えてきた湘南の新シーズンに向けての要素だ。