サッカーのこといろいろ書いちゃうブログ

フリーのサッカーライター(tomo2take)が、取材で感じたことや、気になったニュースなど、そのときどきで書いていきます。

サッカー全般

岐阜は日本のチェルシーになるのか?

最近、ネットでもニュースになっている岐阜。

ラモス瑠偉監督を迎え、川口能活、三都主アレサンドロら元日本代表選手を獲得。潤沢な資金をバックに迎え、一気に金満チームへの変貌を遂げるのだろうか。

 

ことの発端は20121225日、FC岐阜の公式HPで「藤澤信義氏・Jトラスト㈱代表取締役社長によるFC岐阜支援のお知らせ」が発表されたところからだろうか。

http://www.fc-gifu.com/news/post-2028.html

 

※藤澤氏と会社に関してはググってみれば分かるので、自分で調べてください。

ちなみにYahoo!ファイナンスには、「事業者金融発祥。買収でクレジットカード、消費者金融、保証、韓国の銀行に多角化、急成長」と書かれている。まあ、簡単に言えば金融業で一気に大きくなった会社。特に吸収合併を繰り返していき、傘下にはクレジットカード会社などがあるので経営としては基盤が硬いかなと。

 

このJトラスト㈱の支援が決まり、昨年末には藤澤氏が「(FC岐阜の強化費は)5億でも10億でも」と発言した。そして、この発言を受け昨年末にFC岐阜の流れが変わった。

 

そして、ラモス監督の就任が決まり、新加入選手が続々と決まった。

 

2014年シーズン加入

ラモス瑠偉 監督

ヘニキ                  [←Criciuma(ブラジル)

川口 能活            [←磐田]

三都主アレサンドロ[←栃木]

深谷 友基            [←大分]

木谷 公亮            [←鳥栖]

太田 圭輔            [←徳島]

チアゴ                   [←名古屋/期限付き移籍]

高地 系治            [←横浜FC

難波 宏明            [←横浜FC

宮沢 正史            [←大分]

田中 智大            [←FC岐阜SECOND]

 

元日本代表として活躍した選手としては、監督に就任したラモス(32試合)、そして元日本代表の川口(116試合)、三都主(82試合)の3人。日本だけでなく海外での経験値もあり、他の獲得選手と比べても突出した経歴を持っている。

ドーハの悲劇を経験した監督、マイアミの奇跡の川口、パイナップル頭(そこか!?(笑))の三都主。彼らはネームバリュー、知名度としても相当なものだ。

 

また、深谷(大宮、大分で207試合)、木谷(仙台、鳥栖などで297試合)、大田(清水、柏などで239試合)、高地(鳥栖、横浜FC305試合)、難波(横浜FCや水戸で152試合)、宮沢(FC東京、大分などで259試合)と、J1J2200試合以上出場している(難波がちょっと足りないけど)歴戦の猛者ばかり。昨年までの登録選手と比べても実績のある選手ばかりだ(ただ、それぞれの年齢的をみると、これからピークを迎える選手ではない感があるのは否めない)。

 

それでも、練習場にはラモス監督や、川口、三都主を一目見たいという人が二重三重に輪を作って見学しているという。勿論、そんな状況なので練習後にはサインを求める人だかりができてしまい、ラモス監督も「こんなに多いと、全員にはできないぞ」なんて言ったとか(でも実際は可能な限り対応したというからさすがだ)。しかし、この状況にはチーム広報さんも驚いたに違いない。

 

 

■そんなFC岐阜だがつい最近までは存続の危機だった。

 

2009年にはJリーグに5000万の借金をしている。また、Jリーグに加入した2008年以後の順位をみても、13位(15チーム)、12位(18チーム)、14位(19チーム)、20位(20チーム)、21位(22チーム)、21位(22チーム)という散々たる成績。昨年はなんとかJ3への降格を回避。

ここにJリーグへの借金問題もあってか、選手を獲得する場合も協会にお伺いをたてないといけなかったり(赤字にならないようにするため)苦しい時期が続いた。そのため新人を獲得するよりも、他クラブからのレンタルなどを使っての強化しかできずなかなか勝てないという悪循環に陥っていた。


しかも、このまま赤字が続くようならばJリーグライセンスの剥奪の可能性もあった。そうなればチーム存続の危機ということもあったのだ。

成績が好転しないとお客さんも増えないし、スポンサーも増えない。この三重苦に、チーム存続の機器まで振りかかるまさに四面楚歌の状況だった。

 

しかし、そこに神が舞い降りた。地元出身であるJトラスト㈱の藤澤氏が支援を決める。そして、強化費は「5億でも10億でも」という発言があった。

 

そもそも、その金額を聞くだけでも凄いけど、提示した金額の差が5億もある点がまたもの凄いことだと感じる。どこの世の中に5億ものどんぶり勘定ができる人がいるだろうか。

 

例えば、5億という金額でいえば近年のJ2では殆どのクラブの強化費をまかなえる。もし、10億ともなればJ1でも甲府や新潟、仙台と肩を並べるかもしれない。そんな強化費を使えるチームがJ2リーグで戦うとなれば、チェルシー化は簡単ではないだろうかとも思う。

 

しかし、実際いきなりそれだけのお金が使えるからといって即戦力、代表クラスをバンバン獲得できるということではない。しかも、支援を受けるというのが決まってからシーズンインまでは時間も無かった。

その時点では他のクラブの編成もあったし、既にトライアウトも始まっていたので目ぼしい選手には既に水面下で交渉が行われていたはずだ。それだけに、いきなり実力選手を連れてくるには難しいタイミングであったと予想できる。

 

■注目は、今シーズンオフだ。

 

しかし、落胆する必要はない。

既に今の段階でも、「岐阜はお金を持っている」「代表クラスの強化をしている」というイメージが一般にも、Jリーグを戦う選手たちにも付いた。それに、今シーズン1年もあれば選手同士の口コミで簡単に情報が広まるはずだ。勝利給や前泊するホテルのグレード、その他の待遇など、そういうところも実際に口コミで伝わればプレーする機会を求め、移籍を考える選手は出てくるだろう。

 

例えば、昨年のオフには名古屋が経営規模を縮小した。

その結果、藤本、増川、阿部、田中ら主力クラスがクラブを離れることになった。他にも、日本代表クラスでいえば鹿島の岩政が退団するという例もある。更に名前をあげれば、永井、西、巻、黒部、金沢など錚々たるメンバーも新天地を求めている。それだけに、時期がもう少し早ければ彼らの獲得も可能だったのではないかと思う。

そして、今年のオフも各クラブの経営状況次第では元日本代表クラスの選手が移籍市場に出てくる可能性は否定出来ない。特にクラブライセンスの問題が出ているところは尚更だ。

 

だが、本家チェルシーにしても、2003年にロシアの石油王アブラモビッチがチームを買収したが、実際に強くなったのは翌年の2004年にFCポルトからモウリーニョ監督を招聘してからだった。

モウリーニョの経歴は今更詳しく書くことでもないが、彼はポルトガル国内でも評価の別れる監督であったがFCポルトでの成功を踏み台に、その後チェルシーで指揮をとることになり世界的にも有名な監督となった。

最果ての地ポルトガルのクラブでは大きなお金を動かすことができなかったが、アブラモビッチというスポンサーを得てお金を使えるようになったことで、理想とする選手を獲得し、自分の求めるサッカーを貫いた結果、更に評価を上げた(と思っている)。


そして、それからは監督の目指すサッカーに合った選手を、移籍金や年俸を気にすることなく獲得し常勝軍団へと変化していった。


しかし、1年目はRカルバーリョ、PフェレイラらFCポルト時代から起用した信頼の置ける選手を即座に獲得した。これは自身の理念をチームに浸透しやすくするためでもあった。そして、逆に前線にはドログバ、ロッベンといった個で勝敗を決めることができる世界クラスのFWを獲得した。規律ある守備と、破壊的な個性ある攻撃力、これが勝因だったように思う。

 

そう考えると、単にお金があるからチームが強くなるのではなく、監督やクラブの考えるサッカーを表現できる選手を獲得し、試合でも活躍できるようにチームに落とし込まないと話にならない。

だから、FC岐阜が日本のチェルシーになれるかどうかは、藤澤氏が潤沢な資金を援助できるからと短絡的に結びつかない。むしろ、そのお金を使うクラブと監督がどれだけ正確に未来のビジョンを描けるかにある。それができて初めて常勝軍団、チェルシー(ギフシー)となる。

 

そして、選手獲得と共にクラブハウス問題などハード面での整備も必要となるだろう。

そう考えると、1年や2年で強豪クラブになるのではなく、中期的な計画のほうが良いように思う。

実際、ラモス監督は今シーズンの目標を「10位」としているようなので、単純な金満チームに

はならないような気がする。


いずれにしても、まずはラモス監督の手腕に期待したい。そして、ラモス監督のコネクションが今年のオフに活かせれば確実な補強ができるだろう。TVでも露出は増えていきそうな印象があるし、注目が高くなれば選手たちのモチベーションにも影響する。そうなればプラスの効果が生まれチームは上昇気流を描くことになるだろう。

 

 

■予想フォーメーション

昨年をベースに2014年布陣を勝手に予想

新加入選手では、高地、宮沢、三都主と左利きが多いので、揃って左サイドに配置した

 

------難波--スティッペ----

    (中村)

高地----------------大田

(美尾)

------宮沢----ヘニキ----

                  (益山)

三都主木谷---深谷杉山

(野垣内)

----------川口---------

 

J3を考える

公式HPも完成

http://www.j3league.jp/

 

ようやく、公式HPでも新設されたJ3リーグの概要が発表された。

そして、日程も発表されましたので、ちょっと感じたことなどを書きたいと思います。

 

 

ちなみに、J3リーグの概要は以下

(公式HPににもPDFがあるので参考に)

 

2014 明治安田生命 J3リーグ 大会方式および試合方式

■主催

公益財団法人 日本サッカー協会/公益社団法人 日本プロサッカーリーグ

 

■大会方式

3回戦総当りリーグ戦(ホーム&アウェイ + ホームorアウェイ)

33節/198試合

 

■開催期間

39日(日)~1123日(日・祝)

 

■試合会場

原則として各クラブのホームスタジアム

※Jリーグ・アンダー22選抜はホームゲームを開催せず、対戦チームのホームゲームとして試合を行う。

 

■開催概要

《試合方式および勝敗の決定》

90分間(前後半各45分)の試合を行い、勝敗が決しない場合は引き分けとする。

 

《勝点》

勝利:3点、引き分け:1点、敗戦:0

 

《年間順位の決定》

リーグ戦が終了した時点で、勝点合計の多いチームを上位とし、順位を決定する。

ただし、勝点が同じ場合は、以下の順によって順位を決定する。

()得失点差

()総得点数

()当該チーム間の対戦成績(イ:勝点、ロ:得失点差、ハ:総得点数)

()反則ポイント

()抽選

※抽選は、J2昇格チームの決定等、理事会が必要と判断した場合のみ実施される。

 

■試合エントリー

1チーム16名以内

(外国籍選手は2名まで。ただし、Jリーグが別途「Jリーグ提携国」として定める国の国籍を有する選手* 1名に限り、追加エントリー可)

 

■選手交代

試合中の選手の交代は5名以内とする。

 

■警告の累積

3リーグにおいて警告累積が4回に達した場合、同大会の直近の試合が出場停止となる。

 

■出場資格登録期限

2014919日(金)

 

■表彰

1位 :賞金500万円/Jリーグ杯

2位 :賞金250万円

 

 

★パートナー

■J3リーグ タイトルパートナー

明治安田生命保険相互会社

 

■J3リーグ オフィシャルパートナー

アディダス ジャパン株式会社

日本航空

 

■J3リーグ オフィシャルブロードキャスティングパートナー

スカパーJSAT株式会社

 

■スポーツ振興パートナー

独立行政法人日本スポーツ振興センター

 

 

Jリーグとの違い

□冠スポンサー、パートナーの存在

まず、先日J3のリーグロゴが発表されたように、既存のJリーグとは違うリーグであることが明確にアピールされた。

 

そして、「2014 明治安田生命 J3リーグ」という大会名から、冠スポンサーが居ることが分かる。現段階ではJリーグには冠スポンサーはないので、ここがまず違う。

しかし、冠スポンサー(J3 ではパートナーと呼んでいる)が今後J1J2のリーグ戦にも付く可能性はありそうだ。ナビスコ杯や海外のリーグ戦のように、「2015 ○○J1 リーグ」や、「2015 ○○○○J2リーグ」という名称になる可能性は大いにある。

新たにリーグを発足したり、Fリーグなど傘下に多くのリーグを抱えている協会としては、より多くの資金を集め分配するためには必要だと考えてのことだろう。そして、広告代理店とそういう計画を立てているのは違いないと思う。

 

□スカパー!放送について

地元のクラブがJ3リーグへの参入が決まったというサポーターさんたちの一番の関心は、TVで試合が見られるのかというところだったが、スカパー!と3年間の契約をしたとのこと。

スカパーでは、全198試合のハイライト放送に加えて、注目試合を年間約10試合、開幕節に関しては、FC琉球対JリーグU-22選抜の試合を生中継するとのこと。

全試合生放送とはならなかったが、ハイライト放送があるのは嬉しいことだ。

 

□リーグ戦について

基本的には勝ち点の計算や累積警告など、Jリーグと大会方式に大きな違いはない。

あるとすれば、以下の3つ。

エントリー数、外国人選手のエントリー数、交代選手の人数。

 

エントリー数は1チーム16名以内。

これはちょっと前までのJ2も同じだったし、クラブ規模の差を少なくし競争させようという意図もあるように思う。まあ、そんなに違和感はない。

 

外国人選手は2名まで

ただし、Jリーグが別途「Jリーグ提携国」として定める国の国籍を有する選手1名に限り、追加エントリー可ということなので、インドネシアやシンガポールの選手は追加できる。

 

交代選手が5人。

これが一番大きな違いかな。

昨今、高校サッカーでも交代枠は3人まで。しかし、J3リーグでは育成も目的のひとつに入っているのでベンチメンバー全員が出場できるというのはテスト的なトライだが面白い制度だと思う。

場合によっては、前半と後半でGKを交代させることもある(もしかしたら、主にこれはU-22選抜のためのルールかもしれないけど)。

それに、もしかしたらサブGKをベンチ登録せずにベンチの5人全員をフィールドプレイヤーにしてくるチームも出てくるかもしれない。そうすれば、より攻撃的な采配が可能となるし勝利の可能性が出てくる。しかし、このへんのリスク管理も含めてクラブの色、やり方となる。

 

U-22チームの存在

そして最大の違いはここ。

J3リーグにクラブチームではない、U-22選抜チームが参戦する。

 

原博実専務理事兼技術委員長のコメントを読むと、「日本サッカー界において一番課題である19歳~22歳の年代をどうやって鍛えるかということ」を考えての決断だという。

 

先日の期限付き移籍のときも書こうかと思っていたんだけど、現在のJリーグではサテライトリーグが撤廃されたことで、高卒選手や大卒年代の選手たちが定期的にプレーする公式戦の場が減っている。

だから、クラブは定期的に練習試合などを組むが、関東や関西のクラブなら高校や大学も多く地理的にも移動は少なく(比較的)簡単にセッティングできる。

しかし、そうではない地区を本籍にしているクラブはなかなか難しい。大学生にしても関東や関西と比べるとレベルも違ってくる。

ちなみに、元湘南で指揮をとった反町監督も、新潟時代は相当苦労したらしく、このことは嘆いていた。

だから、近年は高卒でJリーグに入るのではなく、大学を経由してJリーグ入りをする選手も増えてきているというのも現実的にはある。そして、そういう19歳から22歳という大事な時期に、どれだけ多くの試合でプレーし実戦経験を積んだかが、その後の成長に影響してくる。

 

高卒で即戦力ではなかったが、それでも我慢して育ってくれて日本代表になった岡崎慎司選手のような例は少ない。これは、清水エスパルスの強化部がしっかりと先を見据えたこと、クラブが資金的にも余裕があったこと、そして現場が選手の才能を信じたからだと思う。

しかし、運営規模の小さなクラブや、J2のクラブではなかなか難しいと思われる。

 

そこで、サッカー協会が自らバックアップ(お金も人材も提供)をして育成に乗り出した。

特に2年後の2016リオ・オリンピック大会を目指し、19歳から22歳までの五輪世代を強化することに力を入れることになった。

まあ、サッカー人気の低迷は日本サッカー協会の低迷に繋がる訳で、特にオリンピックへの関心の強い日本では尚更。

中田ヒデや前園、城、川口らが活躍したアトランタ五輪にしても、出場の際には、「28年目の奇跡」なんて呼ばれたが、そこから一度も出場権を失っていないのは素晴らしいこと。しかし、常態化してくると、そろそろメダルを期待されてしまうというのが難しいところ。

 

そのU-22選抜チームを指揮するのは高畠勉監督。川崎Fリーグでの監督としてのイメージが強いかな。また、関塚監督の名参謀という感じ。知的な印象だ。

 

ちなみに、U-22選抜の登録選手は今シーズンは9311日以降に生まれた日本国籍を有する選手が対象となる。よって今シーズンはU-21、来シーズンはU-22の選手で構成される。そして、試合はすべてアウェイ。対戦相手のホームで試合を行う。

 

また、選抜選手たちの登録も事前にある。

Jリーグと同様に、第1登録期間(328日)までに完了し、第2登録期間(718日〜815日)に変更ができる。

それでも、基本的には所属クラブでの活躍が大前提。練習は勿論、試合に出ることが最優先となる。

しかし、出場機会が少ないと思われる選手たちは、選抜チームとして登録され、さらに週末の試合に選ばれた場合、金曜日の夜に集合、土曜日にトレーニング、日曜日の公式戦へ挑む。

こういう流れになるようだ。

 

ちなみに、選ばれた選手たちがどのようなメンバーになるのかはJ3公式HPでなどでリリースが出ると思うのだが、所属クラブでの対応はまだ決まっていないと思われる。

 

その都度、「○○選手、U-22選抜選出のお知らせ」という形でリリースをするのか、しないのか。また、事前登録をされたかどうかのリリースもどのように対応するのだろうか。


サポーターにとって、応援するクラブから誰が選ばれて、J3の試合に出るのか。毎回J3HPを見て確認するのか。

しかも、金曜日の夜に選ばれた選手を知ったとしても、その場合にU-22選抜の試合を見に行きたいと思っても、アウェイでしか試合は無いため日程を抑えるのは至難の業だと思う


清水エスパルスのサポーターだとすれば、試合会場が藤枝ならばなんの問題もない。

しかし、福島とか盛岡、秋田とかだった場合はどうだろうか。


湘南ベルマーレの場合、相模原、町田、横浜など関東圏での試合ならば問題はないだろうと思うが、遠方だった場合はどうするのだろうか?


このへんはこれから解決していくべき問題点だろう。

 

 

いずれにしても、J3リーグはようやく産声を上げたばかりで、やってみないと分からない部分も多い。特にU22選抜チームに関しては協会としても初のトライ。というか、世界でも例を見ないシステムなので、2年後のリオでどのような成果を出すか、いやその前に今シーズンでどのような効果、結果、成果が出るかに注目したい。

場合によっては世界の一流リーグも真似をするなんて可能性もある。

そうなれば、世界へ日本初の新システムを売り込むチャンスでもある。

 

 

フォルランがやって来るヤア ヤア ヤア

128日、C大阪の公式HPにあのリリースが遂に出た!

 

「ディエゴ・フォルラン選手と合意のお知らせ」

http://www.cerezo.co.jp/news_detail.asp?c_idx=10012194&contents_code=100100100

 

公式発表の前に、多くのメディアがフォルラン獲得のニュースが出た。このときは正直言って時期も時期だし、ネタとしてはありだから、興味をもったとか、調査しているとか、そういう感じの状況で、もしかしたらだけど飛ばし記事じゃないか?とも思っていた。

 

しかし、どうやらその後に続く情報は信憑性が高く、サッカー専門の媒体でもフォルラン移籍の情報を多く扱うようになった。となると、可能性が高いのか?と思っていた。

 

そして、本人のツイッターで発表されたというソースがネットで飛び交い、遂にC大阪の公式HPでもリリースが出た。これで完全に確定した。

 

 

いや、ディエゴ・フォルラン。実に久しぶりの大物外国人である。

 

C大阪の公式HPではこう書かれている。

 

《ディエゴ フォルラン選手プロフィール》

□名 前:ディエゴ・フォルラン・コラソ

□生年月日:1979519日(34歳)

□出身地:ウルグアイ

□ポジション:FW

□前クラブ:インテルナシオナル(Sport Club Internacional/ブラジル)

 

そんでもって、ウィキペディアさんを見ると既に写真がC大阪のユニフォームを着たバージョンに帰られていた。ネット住民さんのお仕事早いなぁっと関心した。

 

 

■さて、ディエゴ・フォルランってだれ?

サッカーに詳しい人はいいとして、詳しくない人向けに言うならば、前回の2010年南アフリカW杯で5得点を記録した得点王(同1位タイでスナイデル、ビジャ、ミュラーも居る)。

 

分かりやすいところで言えば、日韓W杯のときの怪物ロナウドと同じ(大五郎カットなんてのもありました。懐かしい)

 

馴染みのあるところで言えば、リネカー(名古屋)やスキラッチ(磐田)、ストイチコフ(柏)。時代は違うが、彼らクラスの選手が、そんな大物選手がC大阪に来るのだ。

 

他にも、今をときめく日本代表の10番香川真司が所属するイングランドのマンチェスター・ユナイテッドでもプレーをしていた。とか、そういう紹介の仕方もある

 

まあ、キャリアのピークは香川さんの居るマンチェスター・ユナイテッド在籍時代ではなくて、その後のスペインリーグ(ビジャレアルとアトレチィコマドリー)だったけど、そのスペインリーガでは得点王も取るなど、世界レベルのストライカー(本物)が日本に来ることは間違いない。

 

 

■フォルランフィーバー、セレ女ではなくフォル女の可能性は?

また、彼の加入は若いチームにとって大きな財産となることは間違いない。

 

代表100試合を超えるキャリアに加えて、メディアも書くほど紳士的な振る舞いをするスターは、若く野心に燃える選手たちに何を見せるのだろうか。背中で語るのか、それとも積極的に会話をしコミュニケーションを取るのかは分からないが、一緒にピッチに立つだけでも得られるものがあると思う。

 

しかし、本当の効果はチームだけではなく、日本のサッカー界にあると思う。

中でも特に注目しているのは育成年代の反応だ。

きっと今年は、高校生や中学生、小学生のサッカー選手(特にFWの子)は、監督やコーチから「フォルランのプレーをしっかり見て勉強しろ!」、なんてことを口酸っぱく言われることだろう。

その技術を真似することはできないかもしれないが、動き出しのタイミングとか、ボールを受けるときのポジショニングなど勉強するところは沢山あるし、いいイメージを受け取ることはできるだろう。

 

そうやって、一流のプレーを定期的に(ライブならばスカパー!短い時間でも夜のスポーツニュース番組などで)見ることができるというのは日本サッカー界にとっては大きな財産となる。

そして、翌日の試合や、月曜日の学校では、「フォルランのゴール見た?スゲェよな」とか、サッカーの練習でも、「フォルラン!!」とか叫びながらシュート打つような光景が多くなるのかもしれない。

もしかしたら、あのウェーブがかった長髪も流行るかも。

 

当然、クラブとしても収益の面では大きな期待をしている。既に各メディアでも書かれているが、コアなサッカーファンはC大阪の試合を待ち遠しく思っている。

いつもは応援する特定のクラブがあっても、ホームスタジアムにC大阪がアウェイで訪れるときはワクワクものだ。きっと、試合の日は応援どころか、「フォルランどこだ?」とそっちばかりが気になることは間違いない。そして、そこで良いプレーをすれば、たとえ対戦相手だろうと、「オっー!スゲェ!!」とスタジアムは沸くに違いない。

などと書いている自分も、フォルランのプレーをJリーグで、生で見られるとなればドキドキしてしまう。唯一願わくば、取材となる試合、対戦の日にフォルランが何かの怪我や出場停止になっていないことだけだ。

 

そういう意味からすると、集客力はホームだけに限らず、アウェイ側のチームにも恩恵をもたらすことになりそうだ。C大阪のフロントは素晴らしい仕事をしたと思う。

 

となると、女性がワクワクどきどきするよりも、子どもや野郎がわーわー騒いで、ドキドキするほうが多いかもしれない(笑)

でも、柿谷とのコンビは楽しみ。

 

 

さて、ここで個人的なプランをひとつ。

フォルランがC大阪でプレーするのならば、アトレチコ・マドリー時代共にプレーした元ポルトガル代表のシモンをどこかのクラブが獲得してくれないだろうかと妄想する。ポルトガル好きの僕にとっても嬉しい話だし、フォルランと何がしか縁のある選手がJでプレーしてくれたらと思う。

TVも取り上げてくれる可能性が大きい。

しかも、在阪クラブならばもっと面白いと思うけど。

 

あとは、アトレチコ・マドリーの象徴でもあったカルロス・アギレラなんてのも良いかもしれない。現役復帰だと妄想は膨らむ。いやいや、もう40歳オーバーだから無理だな(笑)それに2部に落ちた年、僕がマドリーで見た時も既にオッサン体型そのものだった。

 

いずれにしても、今回のフォルラン加入はグットニュース。

だって、34歳だけど衰えは見えない。

まだまだ現役で代表でもプレーするつもりみたいだし、ピークを既に越えたロートルがお金稼ぎに来るのとは違うから。

 

だって、吉田麻也がブログでも書くくらいでしょ。

多くのJリーガーも(特にDFの選手たちは)今から対戦が楽しみなのではないだろうか。

期限付き移籍についての考察 追加

ちなみに、ここ2年の移籍(出入り)を集計してみると分かることがある。

 

2012年オフの場合は、J1 クラブからは44人の選手が期限付きで活躍の場を求めた。これは所属クラブを出た選手(契約満了や海外移籍、引退選手も含む183人)の約24%。J2の場合は、24人が期限付き移籍を求め、クラブを出た選手(J1と同様287人)の約8%となる。

ちなみに、J2のクラブが期限付き移籍で獲得したのは40人。これは加入選手(240人)の約15%となっていて、J1クラブを期限付き移籍で出てきた選手(44人のうち)の殆どがカテゴリーを落としてプレーしていると言い換えることができる。

 

2013年オフの場合は、J1 クラブからは46人の選手が期限付きで活躍の場を求めた。これは所属クラブを出た選手(契約満了や海外移籍、引退選手も含む176人)の約26%。J2の場合は、32人が期限付き移籍を求め、クラブを出た選手(J1と同様259人)の約12%となる。

ちなみに、2013年はJ2のクラブが期限付き移籍で獲得したのは44人。これは加入選手(227人)の約19%となっている。

 

ちなみに、シーズン中の移籍はデータから除外してまとめるとこうなる。

※印は完全移籍が難しい状況だったのかなと思われる例。外国人だったり、日本人選手が海外に挑戦するのを認めるケースだったりするので、敢えて記載した。

 

2013年のJ1 移籍

仙台

in7人(期限付き2人)        ※マイケルマグリンチィ(セントラルコースト・マリナーズ)

out9人(期限付き3人)

 

鹿島

in6

out5人(期限付き1人)

 

浦和

in5

out7人(金原付き3人)

 

大宮

in11

out10人(期限付き3人)

 

in5

out8人(期限付き2人)

 

FC東京

in10人(期限付き1人)      ※マテウス(SEヴィトーリア)

out10人(期限付き2人)

 

川崎F

in8人(期限付き2人)        ※パトリック(アトレチコ・ゴイアニエンセ)

out10人(期限付き2人)

 

横浜FM

in9

out8人(期限付き3人)

 

甲府

in7

out11

 

新潟

in8人(期限付き1人)

out14人(期限付き3人)

 

清水

in9

out13人(期限付き7人)

 

名古屋

in10人(期限付き2人)      ※ヘジス(セアラ)

out10人(期限付き3人)

 

G大阪

in8人(期限付き1人)        ※エブソン(パウリスタFC)

out8人(期限付き3人)

 

C大阪

in8

out17人(期限付き2人)    ※丸岡(ボルシアドルトムント)

 

神戸

in9

out12人(期限付き3人)

 

広島

in11

out11人(期限付き6人)

 

徳島

in10

out5

 

鳥栖

in11人(期限付き3人)

out10人(期限付き3人)

 

2013年のJ2移籍

札幌

in10人(期限付き1 人)     ※ヘナン(ローマ エスポルチアプカラナ)

out6人(期限付き2人)      ※横野(コンケーンFC

 

山形

in8人(期限付き1人)

out7人(期限付き2人)

 

水戸

in10人(期限付き3人)

out9

 

栃木

in10人(期限付き6人)      ※ドゥドゥ(METROPOLITANO-SP

out13人(期限付き1人)

 

草津

in9人(期限付き1人)

out8

 

千葉

in7人(期限付き3人)

out11

 

東京V

in11

out13人(期限付き1人)

 

横浜FC

in11

out11人(期限付き2人)

 

湘南

in13人(期限付き3人)

out17人(期限付き7人)

 

松本

in11

out14人(期限付き3人)

 

富山

in12人(期限付き1人)

out12人(期限付き3人)

 

磐田

in8人(期限付き1人)

out13人(期限付き1人)

 

岐阜

in10人(期限付き1人)

out16人(期限付き2人)

 

京都

in10人(期限付き2人)

out14人(期限付き1人)

 

岡山

in11人(期限付き2人)

out10人(期限付き3人)

 

讃岐

in10人(期限付き1人)

out7

 

愛媛

in13人(期限付き3人)      ※ムンドンジュ(FCソウル)

out17

 

福岡

in9人(期限付き4人)

out11人(期限付き1人)

 

北九州

in9人(期限付き1人)

out8人(期限付き1人)

 

長崎

in13人(期限付き4人)

out12人(期限付き2人)

 

熊本

in13人(期限付き2人)

out12

 

大分

in9人(期限付き5人)

out16人(期限付き2人)

 

 

2012年のJ1移籍

仙台

in8人(期限付き1人)        ※ジオゴ(スポルチレシフェ)

out8人(期限付き1人)

 

鹿島

in7

out9

 

浦和

in7

out6

 

大宮

in6

out8人(期限付き2人)

 

in11人(期限付き1人)      ※クレオ(広州恒大)

out18人(期限付き5人)

 

FC東京

in6人(期限付き1人)        ※李(サウサンプトンFC

out9人(期限付き6人)      ※梶山(パナシナイコス)ロベルト・セザー(蔚山現代FC

 

川崎F

in10人(期限付き1人)      ※パトリック(アトレチコ・ゴイアニエンセ)

out10人(期限付き4人)

 

横浜FM

in8

out12人(期限付き5人)    ※大黒(杭州緑城)

 

湘南

in14人(期限付き4人)

out12人(期限付き4人)

 

甲府

in13人(期限付き3人)

out13

 

新潟

in11人(期限付き2人)

out16人(期限付き5人)

 

清水

in15

out13人(期限付き2人)

 

磐田

in8人(期限付き1人)

out7人(期限付き2人)

 

名古屋

in7

out7人(期限付き1人)

 

C大阪

in10人(期限付き2人)      ※エジノ(ティグレス)

out9人(期限付き3人)

 

広島

in5

out6人(期限付き2人)

 

鳥栖

in12人(期限付き3人)      ※ロニ(サンパウロFC

out8人(期限付き1人)

 

大分

in11人(期限付き1人)

out10人(期限付き1人)

 

2012年のJ2移籍

札幌

in10

out14

 

山形

in13

out12

 

水戸

in8

out13

 

栃木

in9人(期限付き3人)        ※クリスティアーノ(レッドブル ザルツブルグ)

out11

 

草津

in14人(期限付き3人)      ※ジュニオール・アウベス(グレミオバルエリ)

out11

 

千葉

in6

out8

 

東京V

in18人(期限付き1人)

out22人(期限付き4人)

 

横浜FC

in13人(期限付き2人)

out9人(期限付き1人)

 

松本

in19人(期限付き3人)      ※ホドリゴ カベッサ(デスポルティボブラジル)

out22人’期限付き3人)

 

富山

in9人(期限付き2人)

out10人(期限付き1人)

 

岐阜

in13人(期限付き2人)

out21人(期限付き2人)

 

京都

in12人(期限付き2人)

out11人(期限付き4人)

 

G大阪

in5

out11人(期限付き3人)

 

神戸

in14人(期限付き2人)      ※マジーニョ(パルメイラス)

out12人(期限付き2人)

 

鳥取

in14人(期限付き5人)

out16人(期限付き2人)

 

岡山

in10人(期限付き1人)

out14

 

徳島

in12人(期限付き3人)

out10

 

愛媛

in12人(期限付き4人)

out13人(期限付き1人)

 

福岡

in10人(期限付き1人)

out13人(期限付き1人)

 

北九州

in20人(期限付き2人)      ※アンヨンギュ(水原三星ブルーウイングス)

out23

 

長崎

in10人(期限付き4人)

out2

 

熊本

in9人(期限付き1人)

out9

 

 

こうしてみると、期限付き移籍の制度を利用していないクラブのほうが少数だというのが分かる。

そして、J1クラブよりもJ2クラブのほうが更にこの制度を上手に使っているというというのがよく分かる。

そして、どのチームがこの制度を上手く使っているかが分かる。

 

■海外での事例

ちなみに、海外でも期限付き移籍の例は沢山ある。しかも、日本人選手が関係しているケースも沢山ある。

 

例えば、宮市亮(湘南に加入した宮市剛は弟)。中京大中京高を卒業後、イングランドのアーセナルに移籍したが就労ビザの問題でイギリスではなくオランダのクラブでプレー。そこでの活躍が認められチームに一度は戻るが、出番を求めて再びレンタルで他のクラブ(同じプレミアリーグ)へ期限付き移籍している。まあ、名門アーセナルでのレギュラー争いは厳しいのが当たり前。外で修行するという選択肢は悪くない。しかし、チームも将来性などを買っているので完全移籍ではなく、レンタルで出している。

 

逆のパターンもある。それがFC東京にいた長友佑都の場合。日本国内からイタリアに挑戦という意味も含め、当初はレンタル移籍でチャレンジするが、そこから完全移籍へと変わってく。まずはじめに完全移籍のオプション付きでチェゼーナに加入。そのまま完全移籍を果たす。すると、その後はすぐに名門インテルに才能を買われレンタルで出向くと、そのまま完全移籍へ。最近ではキャプテンマークまで巻いた大出世選手。そして、今やインテルでも日本代表でも看板選手になっている。

 

 

つまり、レンタル移籍と言っても様々。サッカーの世界で認められたルール。なので、その使い方をどうするか。上手く使ったクラブ、選手が特をする。

 

しかし、この制度で一番危惧をしていることもある。クラブの都合、資金調整のために選手の将来を考えず簡単に期限付き移籍で外に出すこと。育成の役割を放棄したやり方には反対したい。

 

昔、湘南で監督を務めた反町康治さんは、「監督の俺が、その選手にこのチームでやっていける力がないと認めたから外に出す(レンタルで出した)。そこで大活躍して、サポーターになんで出したんだ?その責任が誰にある?と聞かれたら俺にある。しょうがないだろう」というようなことを話してくれた。

期限付き移籍で出る選手も、出すクラブも、これくらいの覚悟を持って欲しいと思っている。

 

 

 

 

なぜ期限付き移籍が多いのか

■期限付き移籍が増えた背景は

 

※まず先に

レンタル移籍(正式には期限付き移籍)の制度が導入されたのは1994年から。

2013年には試験的に、23歳以下の選手を期間限定で登録ウインドーの適用を受けずに行えた。

 

さて、今回このテーマで書いていくのは、このオフには多くのクラブから移籍のリリースが出されて、それを見ていたときに感じたこと。

そういう時期といえば時期だが、中でも特に気になったのは「期限付き移籍」の事例が多いように感じたからだ。それでデータを取って調べてみようと思ったが、手元には10年前の選手名鑑や節目となる1994年や2007年(理由はあとで記述)などがなく、あくまでも感覚的な情報となってしまうので説得力に欠けるという点が口惜しい。

(なので、あくまでも印象。僕の空想ですので裏付けはありませんよと)

 

ほんの数年前までならば選手の移籍というのは、「期限付き移籍」ではなく、「完全移籍」でのリリースが多かったという感覚がある(実際は契約満了でもリリースが出ない場合も多いので、一概には言えないかもしれないが)。

どちらかと言えば、「期限付き移籍」はシーズン途中(夏の移籍ウインドウ)でのことが多く、オフの場合はそれほどではなかったように思っている。だが、なぜこんなにも最近は「期限付き移籍」が多いのかと考えると、その理由はおおまかに2つあるように思う。

 

1つ目、ボスマン判決

2つ目、クラブライセンス制度

 

まず1つ目。

ボスマン判決とは、サッカー好きの人には釈迦に説法となるが簡単に。

これは、ベルギー人のごく普通の選手(失礼)が所属元クラブとの契約が切れ、その後オファーのあったフランスのクラブに移籍しようとしたときの話。ところが、元在籍していたクラブが急に移籍金を要求。これに怒ったボスマンさんが裁判を起こし(契約の切れたクラブの)所有権の破棄、その後は自由に移籍できる権利を勝ち取った。これがボスマン判決。つまり、どんな選手も契約が切れれば移籍金は発生せず自由に別のクラブに移籍できるというもの。

 

これで喜んだのはお金のあるビッククラブ。いい選手を(契約が切れていれば)移籍金を使わず獲得できる。しかし、逆に困ったのは小さいクラブ。いま在籍している選手を引き止めるには複数年の契約を提示しなければならない。そのためには強化費、潤沢な資金が必要となる。

 

そして、日本でも2005年に鹿島の中田浩二が0円でマルセイユ(仏)へと移籍し問題となった。それまでJリーグには年齢別に移籍係数が設定されており、そこで移籍金が発生する制度(2009年オフに改正)があった。そのめ、Jリーグは選手の所有権を主張するのが普通だったが、ボスマン判決のため欧州各国では0円移籍を主張した。これでは有望な選手がどんどん海外に出てしまう。それを恐れ、日本でも有望な選手と複数年契約をしてきた。そして、Jリーグ独自の移籍金精度の廃止によって、更に複数年契約への拍車がかかる。

 

そして2つ目。

クラブライセンス制度は、Jリーグが2013年から実地しているクラブの資格制度。簡単にいえば、協会が定めた基準をクリアしなければ、そのカテゴリー(リーグ)への参加を認めないというもの。審査されるのは、「競技」「施設」「組織運営・人事体制」「財務」「法務」の5分野で、それぞれのカテゴリーに基準を作りJ1,J2J3のライセンスが与えられる。

この制度が話題になったのは、2012年シーズンでの北九州のJ1 ライセンス問題でしょうか。三浦泰年監督を迎えJ2 リーグで躍進をみせた北九州。しかし、どんなに好成績をあげても(この時はプレーオフ圏内)ホームスタジアムの基準(席数の不足など施設整備面)がクリア出来ていなかったため、(プレーオフの参加も)2位以内に入ったとしてもJ1の昇格はできないと分かった。

また、よく話題になるのが赤字。 「3期連続の赤字で降格」というのは、これまで豊富な資産を持つ親会社がバックにいて、バンバンお金を使って赤字になっても、オフには親会社からの広告費として辻褄を合わせていたクラブがあった。しかし、そうやって赤字を垂れ流していた金満クラブにとっては「3年連続の赤字ならば、無条件で降格」というのは寝耳に水どころか、戦々恐々たるルールだった。これで、絶対に赤字を出せない。そういうプレッシャーがかかった。

 

 

■最大の理由はクラブの資金難

 

さて、本題に戻る。

ではなんで、期限付き移籍が多いのか?

 

各クラブは現在お金の工面にとても苦労している。いい選手を育てて優勝争いをしたい。それは当然のこと。

しかし、高年俸の選手は多く抱えられない。かといって、活躍著しい選手の年俸を上げなければモチベーションにも影響する。でも、それではクラブの運営は苦しくなるばかり。

しかも、いい選手と単年契約なんてしていれば、そのオフには0円で引き抜かれるリスクがある。それだけは避けたい。ならばある程度の経費を覚悟して複数年契約をしなくてはいけない。

だが、ここで頭を悩ませる。実績のある中堅選手ならばまだしも、若い選手(ルーキーなど)の場合は即活躍するかどうか予測ができない。チームの約束事も覚えるまでに時間がかかるし、実戦経験も少ないとなれば育成に時間をかけるしかない。だから、年俸の安い未知数の若い選手やルーキーでも複数年の契約をする。昔は若ければ若いほど他のクラブに移籍するときには高い移籍金を貰えたが、今は契約が切れれば0円だ。そこがクラブとしては難しい。

 

で、多くのチームは編成の段階でリスクは避けたい。となれば、他のクラブから移籍金のかからない期限付きで選手を貸してもらおうと考えるチームがある(特に資金に難のある小さなクラブ)。1人の選手を支配下登録した場合よりも、レンタルすれば安く済む。そういう傾向はJ2や下位のクラブ では更に強くなる。実力があるのにJ1 や強豪クラブで出番のない選手を借りてくる。そうすれば、資金圧迫も可能だし、チーム強化と合わせて考えれば一石二鳥だ。

 

一方、J1の クラブも、複数年契約をしている選手がチーム編成の段階(もしくは前年の成績)で出番が少なそうだと思えば、高い年俸を払っているよりもレンタルで他のクラブに出せば経費は抑えられる。しかも、いまはサテライトリーグの消滅によって、若手の実践の場がなくなった。ならば、レンタル先でリアルな経験を詰めるのは育成面では大助かり。更にそこで活躍すれば、最終的にはクラブの財産にもなる。そういう計算が働く。だから、こちらも一石二鳥。

 

借りてきたほうのクラブも、主力に育て上げることができれば、将来的にもチームにとって必要だという判断にできるし、その場合は完全移籍での買い取りも視野に入る(そういうオプション契約もある)。全く実績のない新人を獲得してきて、地道に育てていくには時間もお金もかかるが、その選手のスタイルも判っていて、しかもその選手が出場機会に飢えているならばレンタル移籍の制度を利用しない手はない。それが一番リスクも少ないかもしれない(支配下選手ではないから複数年契約などしないので財政面でも負担は少ない)。

 

しかも、場合によっては所属先クラブへの支払い、レンタルフィーを値切ることもできる。となれば、必要なのはその選手の年俸のみなんていう例も沢山あるという。

 

 

■貸す方にも借りる方にもメリットが有る

 

ここまで書けば明白だろう。

J1のクラブは余剰戦力の選手にも、リアリティのある実践の場を与えたい。そうやって育成して戦力に変えていきたい。

一方、J2J3JFL、地区などのクラブは、若くて才能のある選手を獲得したい(昇格を目指すならば当然だ)。しかも、できれば大金を使わずに。だから、期限付き移籍という選択肢が出てくる。

 

 

これは別に悪いことではないと思う。

なぜなら、選手にもクラブにも双方にメリットが有る。

選手側から見た場合、本人がプレーする場を求めている場合が殆どだ。「俺はもっとできる」、「とにかくピッチでプレーしたい」、「実力を証明したい」。そう考えるのは当然。

しかも、サッカー選手の寿命はそれほど長くない。Jリーグでは引退する年齢が平均で26歳だとも言われている。ぼやぼやしていたらすぐクビになる。そのためには試合に出て結果を残さなければならない。

クラブ側から見れば、公式戦に出場できれば実践経験を積ませることができる。トレーニングよりも実践から得ることのほうが何倍も多い。しかも、年俸はレンタル先のクラブが持つ。ヘタすればレンタルフィーまで入ってくる。マイナス要素は少ない。リスクがあるとすれば主力選手の予想外の怪我などか。

 

双方のそうした思惑が絡まって、近年は期限付き移籍のケースが多いように思う。しかし、J2などでは多くの成功例があり、それが拍車をかけているように感じている。

 


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